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所長室

所長 大橋 力の略歴
 1933年、栃木県生まれ。東北大学農学部卒。農学博士。筑波大学講師、文部省放送教育開発センター教授、千葉工業大学教授、ATR人間情報通信研究所感性脳機能特別研究室長等を歴任。現在、文明科学研究所所長、公益財団法人国際科学振興財団情報環境研究所所長。山城祥二の名で芸能山城組を主宰。


「短いスペースには納まり切らない、というよりは、日本の知識人の常識には納まり切らないほど、いろいろな顔をもつ。むしろ行動人である。」
(自由国民社刊「現代用語の基礎知識 現代人物ファイル’95」で日本を代表する42人の科学者の一人として紹介された記事から引用)
 所長 大橋 力のアクティビティは質・量ともにスケールが大きく、相当の紙幅を費やしても描写しきれるものではありません。それらについては、別のコーナーに設けた「業績」をご覧いただくことで、そのアウトラインをイメージしていただくことにしました。
 ここでは、そうしたデータからは読み取りにくい側面について、二つの角度からお伝えしたいと思います。ひとつは、所長をよく知る有力な方々の証言、もうひとつは、独特な受賞歴から読み取れるその類まれな存在理由です。

「大橋 力=山城祥二」にかかわる証言
「山城祥二とは何者か」  (本田 学)
自然科学者 大橋 力=芸能山城組組頭 山城祥二の活性の全体像を最も身近に知る筆者が、2019年に相次いで書き下ろした最新の論考「山城祥二とは何者か」「続・山城祥二とは何者か」
こちらからぜひご覧ください。

<各界からの証言>
「民族学に『貴種』という概念があるが、氏はまさに何処からか現代に流されてきた『貴種』であり『鬼種』でもあるに違いない。」
(辻井喬(堤清二)氏・詩人)

「大橋先生は学界の常識に全然とらわれず、どんどん新しいことをやっていかれる。著書『音と文明』には、常識を破って人間が生きるとはこういうことか、と感じさせるものがあります。」
(河合隼雄氏・文化庁長官、京都大学名誉教授)

「彼はピグミーに同化できる数少ない人の一人である。自然、人間、環境に対する反応や気配りのセンスが、私の知る限りでは最もピグミーに似ている。心根にいたってはピグミー的世界そのものといってよいだろう」
(掛谷誠氏・京都大学アフリカ地域研究センター教授)

「ランドスケープオペラ<ガイア>での指揮ぶりをみて、この人にはぜひ一度軍事をやらせてみたいと思いました。ただ、その才能を利用する機会がなく、世界にとっても本人にとっても幸せなことと思います」
(小田晋氏・筑波大学名誉教授)

「不誠実なことをした場合、やるべきことに手抜きをした場合には、いかなる権威者であっても彼は絶対に許さないし、妥協しない。反対に、誠意をもってやりぬく人間には、いくら忙しくてもひと肌ぬいでくれる。一緒に仕事をして必ず得をしたと思わせてくれる人」
(岩田廣之氏・元MCAビクター社長)

「先生のために研究の時間をつくってあげてください。そうすれば先生はノーベル賞をとる研究をするでしょう」
(村上和雄氏・筑波大学名誉教授)

「彼だけは敵にまわしたくない男である」
(ヴァレリ・アサティアニ氏・グルジア共和国元文化大臣)


  現代の日本では珍しい、しかも魅力的な人物像が浮かびあがってくるのではないでしょうか。身近にみる指導者としての大橋所長は、先頭に立って牽引するより、ひとりひとりの自律性を尊び、その活性を引きだす環境を整えることを優先しています。華やかな業績とは対照的に、たたずまいもふるまいも控えめです。その潜在活性の本質をとらえるには、既成概念にとらわれない洞察力が求められるでしょう。

「大橋 力=山城祥二」の受賞に見える特異性

<中山賞大賞>
 中山賞大賞は、「人間の科学の研究に関する顕著な功績のあったもの,および優れた研究の成果を挙げた研究者に対する褒賞」という権威ある国際的な賞です。海外では、現代ダーウィニズムの旗手であり、近現代の人間観に変革を迫るインパクトある進化論研究で知られる、かの『利己的な遺伝子』の著者リチャード・ドーキンス オックスフォード大学教授や、いまや脳機能研究の切り札となっているファンクショナルMRI(機能的核磁気共鳴画像法)の原理を発見した米国ベル研究所の小川誠二博士が受賞しています。国内では、わが国の霊長類研究の基礎を築き世界最高水準にまで押しあげた伊谷純一郎京都大学名誉教授など、いずれも独創性の高い新領域を開拓し、その領域で歴史に残る国際的業績をあげた研究者に授与されています。
 現代科学を代表する人々と並んで大橋所長がこの賞を受けた2000年には「21世紀のメディアエコロジー」というテーマが設定され、「人間の科学」において「メディア」「情報」がもつ重要性が強調されました。そのなかで、インターネットの普及等によって情報が環境化する現在にはるか先立つ1980年代に「情報環境」という概念を世界で初めて提唱し、知覚を超える高周波を含む音が脳を活性化する「ハイパーソニック・エフェクト」を発見などを通じて、メディア情報環境と脳との適合性について科学的にアプローチする道を拓いたことが高く評価され、受賞のはこびとなりました。現代社会が抱える問題を先取りし、それに対して独創的な新学際領域の開拓をもって応えたこれらの業績は、文科・理科の壁をこえ学術・技術・芸術を一個の人格のなかで統合した所長ならでは、と話題になりました。

<ダルマ・クスマ勲章(インドネシア・バリ州の文化勲章)>
 いまや地球文化の有力な拠点のひとつであると衆目が一致するバリ島。その州政府が授与する最高の栄誉が「ダルマ・クスマ勲章」です。日本の文化勲章を凌ぐともいわれる意義と影響力をもつこの勲章は、1990年代初頭まではバリ人にしか与えられていませんでした。これを外国人にも与えるとバリ州政府が発表したとき、バリ島のみならず国際的な注目が集まりました。州政府による長期にわたる選考の結果、1992年、バリ島文化に貢献している数多くの外国人のなかから、故人を含むわずか5人に勲章が授けられました。20世紀前半にバリ島に滞在してケチャ、バロン劇、ウブド形式の絵画など、いま世界を風靡するバリ島芸術の創出に尽力し、西欧近代以降の国際美術の潮流を大きく動かした存在として注目され讃えられ始めた故ウォルター・シュピース(参考:伊藤俊治著『バリ島芸術をつくった男』)、ガムランの芸術的価値に新たな意義付けを与えた民族音楽研究の世界的第一人者マントル・フットなどの歴史的存在と並んで、大橋所長は最年少の受賞者でした。それは、バリ島社会のもつ科学的な合理性を明らかにしたシステム論的研究や、CD等のメディアを介したバリ島文化の国際化、そして世界的なバリ島旅行ブームの仕掛け人としての誰しも認める所長の業績が正当に評価されただけでなく、いまバリ州政府が外国人にどのような貢献を期待しているかのモデルを実体として示すものといえましょう。

<「第一回」の受賞に縁がある>
 大橋所長の受賞歴にはなぜか「第一回」の受賞が目立ちます。国際賞では、「ダルマ・クスマ勲章」が外国人として第一回の受章であり、グルジア共和国政府がグルジア文化の国際化への貢献を讃えるために設けた「第一回グルジア国際文化賞」の受賞者でもあります。国内に目を転じると、学術領域では「第一回日本バーチャルリアリティ学会論文賞」、「第一回木村重信民族藝術学会賞」、文化領域では「第一回旅の文化賞」などを受賞しています。それは決して偶然ではなく、前人未到の領域開拓を伴う大橋所長の業績に対して、あたかもそれに合わせて賞が制定されるように見えるほど、先進的で類例のない研究活性のあらわれとして解読できるかもしれません。


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