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文明科学研究所ニュース

  1. 「編集者が選ぶ百年後も読み継がれる岩波の本」六冊の中に
    大橋 力先生の著書『音と文明』が選ばれました
    (2013.6)

  2. 岩波書店『科学』「脳のなかの有限と無限」連載完了(2006.1〜2015.4、年4回)

  3. 大橋 力先生講演会シリーズ "大橋道場" 開講 (2009.9.26〜)

  4. 耳に聴こえない高周波が基幹脳を活性化し音の魅力を高める
    〜ハイパーソニック・エフェクトの発見〜
    (2000、2006ほか)

  5. 『音と文明』−音の環境学ことはじめ 刊行 (2003.10.28)

 

 

耳に聴こえない高周波が基幹脳を活性化し音の魅力を高める
〜ハイパーソニック・エフェクトの発見〜

 ハイパーソニック・エフェクトとは、人間の可聴域上限をこえる超高周波成分を豊かに含み高度に複雑に変化する音が、基幹脳――脳幹・視床・視床下部など、美しさ・快さ・感動を司る報酬系の拠点となるとともに体の恒常性や防御体制を司る自律神経系・免疫系・内分泌系の最高中枢をなす領域――を活性化する現象に基づく複合的な心身賦活反応の総称です。それは、領域脳血流の増大、脳波α波の増強、免疫活性の上昇、ストレス性ホルモンの減少、音のより快く美しい受容の誘起、音をより大きく聴く行動の誘導などに及びます。こうした効果をもつ音――ハイパーソニック・サウンド――は、人類の遺伝子が進化的に形成された熱帯雨林の環境音や邦楽をはじめとする民族音楽の中に見出されています。また驚くべきことに、耳に聴こえない超高周波振動を感受しているのは、耳ではなく体表面であることを明らかにしました。

 大橋先生を筆頭著者とするハイパーソニック・エフェクトの発見を告げる論文「聴こえない高周波音が脳の活性に影響を及ぼす=ハイパーソニック・エフェクト(Inaudible High-Frequency Sounds Affect Brain Activity: Hypersonic Effect)」は、2000年6月に、アメリカ生理学会の公式論文誌として百年近い伝統を誇る基礎脳科学分野でもっとも権威ある論文誌Journal of Neurophysioloogy (JNP)に発表されました。同誌では、過去の何万報にも及ぶ全掲載論文から毎月、「その前の1か月間にインターネットで講読された回数の多い論文ベスト50」を集計・公表し、そのうちトップ5のタイトルと著者名をそのトップページに掲げます。いわゆる「引用数」が関連分野に限定されるのに対して、このデータは、ずっと広範囲の世界の科学者たちの注目度を全般的に反映し、のランキングのトップ5入りを果たしトップページに1回でも登場することは、世界の脳科学者たちにとってひとつの到達点であり、研究に対する有力な評価の指標になっています。ハイパーソニック・エフェクト論文は、2003年12月以来、このランキングのトップ5に55ヶ月間連続でランクされ(2008年6月時点)、うち第1位が24ヶ月に及ぶ、という前人未踏の大記録を樹立しました。

JNP most read article ranking

主な発表論文

1. Inaudible high-frequency sounds affect brain activity: hypersonic effect, Oohashi T, Nishina E, Honda M, Yonekura Y, Fuwamoto Y, Kawai N, Maekawa T, Nakamura S, Fukuyama H, and Shibasaki H, Journal of Neurophysiology, vol.83: 3548-3558 (2000)

2. A method for behavioral evaluation of the "hypersonic effect", Yagi R, Nishina E and Oohashi T, Acoustical Science and Technology, vol.24: 197-200 (2003)

3. Modulatory effect of inaudible high-frequency sounds on human acoustic perception, Yagi R, Nishina E, Honda M and Oohashi T, Neuroscience Letter, vol.351: 191-195 (2003)

4. The role of biological system other than auditory air-conduction in the emergence of the hypersonic effect, Oohashi T, Kawai N, Nishina E, Honda M, Yagi R, Nakamura S, Morimoto M, Maekawa T, Yonekura Y & Shibasaki H, Brain Research vol.1073-1074: 339-347 (2006)

 

 

 

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